皆さんは、どれだけのコミュニティを持っていますか?
大学生の私にはいくつもありますが、社会人になると少なくなってしまう方が大半ではないでしょうか。
多ければいいというわけではないものの、新たなコミュニティを持つ機会がなかなかないのも事実ですよね。
今回お話を伺ったのは、株式会社DERTAのコミュニティマネージャー、齋藤華さんです。社会人4年目にして、共創コミュニティから生まれた会社の肝となる「コミュニティ」運営を任されるとはどういうことなのか?ジョインしてから約1年間の発見や学び、変化についてもお聞きしました。
DERTAが展開するサービスデザインとは
株式会社DERTAとは、「デザイン」「デジタル」「共創コミュニティ」の力でローカルをアップデートするという企業ミッションのもと、デザインやデジタル領域におけるソリューションや、起業家・クリエイターが所属する「共創コミュニティ」で課題の解決にアプローチする会社です。(詳しくはこちらをチェック⇨https://derta.co.jp/)
「やってみよう」ができるコミュニティへ
ー華さんがDERTAのメンバーとなり、最初はどんな業務からスタートしたんですか?
齋藤華さん:元々、DERTAはCEOの坂井とCDOの須貝が運営していた勉強会コミュニティからスピンオフとして誕生した会社なので、事業の中心にコミュニティがあるんです。
私が採用された背景には、そのコミュニティを運営できる、人とのコミュニケーションが好きな人を求めていたということと、自分で言うのは少し恥ずかしいですが、新潟の若者たちの身近なモデルとなるような、成長過程にある人がほしかったということがあり、入社と共に「コミュニティマネージャー」という肩書きをいただいて働き始めました。
とはいえ、自分自身コミュニティマネージャーという職業をこの会社に入って初めて知ったこと、また前職とは違う業界で知り合いもほとんどいなかったこと、加えてDERTAの企業カルチャーもこれから理解していくという段階だったので、初めは既存のクライアントワークのアシスタントや、自社主催のイベントの裏方作業などを行いながら、DERTAでのお仕事に慣れていきました。そのような業務を行うなかで、徐々にコミュニティメンバーとの関係性を強めていきましたね。
また、自社で運営している新潟特化型クリエイター検索サービス「sinDERTA(サインデルタ)」に掲載する、新潟のトップクリエイターの方々へのインタビュー記事を書いたりもしていました。取材経験も浅い私が「新潟のクリエイターで知らない人はいない」というような方々に直接インタビューさせていただくのは大変恐縮でしたが、皆さんとのお話が非常に刺激的で、印象に残っています。「トップクリエイターさんはこんなことを考えながらお仕事をされているのか」「新潟のクリエイティブ業界を盛り上げていくためには、こういうことが必要なのか」と、取材を重ねるたび、自分の視座も高まってきました。1年目にして、とてもいい経験をさせていただいたと感じています。
ーコミュニティマネージャーとしてのお仕事はどうでしょう。
齋藤華さん:しばらくは他業務のアシスタントで精一杯でしたが、徐々にコミュニティメンバーの皆さまともコミュニケーションを取れるようになっていき、また他企業のコミュニティマネージャーの方々とお話をさせていただく機会を得る中で、コミュニティの向かう目標や活動などを定義する必要を感じはじめました。
そこで入社から半年ほど経ったころ、弊社CDOの須貝と一緒に、コミュニティキャンバスというフレームワークを使って、コミュニティの概要を定義していきました。コミュニティキャンバスに記載されている項目を埋めていくうちに、コミュニティのビジョンや在り方、活動内容が言語化されていき、それをもとに、DERTAのコミュニティの定義として、オンラインハンドブックを作成しました。
この枠組みを作ったことで、コミュニティマネージャーとしての仕事がはっきりした感覚がありますね。
※コミュニティキャンバスや、オンラインハンドブックについてはDERTAのnoteで詳しく解説しています。
■コミュニティキャンバスについての記事
https://note.com/derta_niigata/n/n6ea0369152f2?magazine_key=ma467ad4ec515
■オンラインハンドブックについての記事
https://note.com/derta_niigata/n/n334f16b22f26?magazine_key=ma467ad4ec515
ーでは今は、コミュニティマネージャーとして活躍しているんですね。
齋藤華さん:今の私の仕事は、コミュニティの運営が半分、クライアントワークのアシスタントが半分という感じです。
コミュニティマネージャーとしての仕事は、コミュニティの設計をしたり、オンライン上のコミュニティ活性化のため、メンバーの発言に積極的に反応したり、情報提供をしたり、またリアルなイベントの開催を企画・運営したり…そういったコミュニケーションの場づくりをしています。メンバーの皆さんが輝くための環境整備ですね。
私が運営するコミュニティは、メンバーにとっても私たちにとっても、直接金銭的な利益が発生するものではないですし、メンバー皆さんは活動が義務ではないので、積極的に関わっていただくことや、コミュニティ参加へのモチベーションを保っていただくのは難しい面もあります。しかし、それ以外の部分で価値を感じていただけるよう、できることを日々考えています。
ーコミュニティの運営、とても難しそうですね…
齋藤華さん:そうですね。しかし、人とコミュニケーションを取るのは好きなので、楽しくやらせていただいています。また、私の気にしがちな性格も、良い方向に生きているのかもしれません。。投稿に誰もリアクションしていなかったり、一人だけみんなの輪の中で話せなかったりしているのを見ると、すごく気になってしまって。場づくりをする中で、その場にいるみんなに平等に楽しんでいただきたいという気持ちは強いと思います。
とりあえずやってみよう
ー華さんのお話から、会社のことを大切に思っているのが伝わってきます。DERTAはどんな会社だと思いますか?
齋藤華さん:サービスデザインのベースとして、とりあえずプロトタイプを作って、実装と改善を繰り返して進めていく「デザイン思考」というものがあります。DERTAのみんなは、それを地で行く「デザイン思考集団」だと思いますね。
社会情勢や人々の価値観が目まぐるしく変化するこの時代に、こだわり抜いたサービスを1年かけて作り上げたとして、それが1年後にも価値があるかは誰も分からないですよね。そうではなく、試作品でもいいから1度市場に出してみて、それが本当に人々のニーズに合ってるものかどうか検証しながら、どんどんその試作品をアップデートさせていって、最終的にいいものをリリースするというやり方です。
DERTAのみんなは、まだまだ経験不足な私が出すアイデアにも、とりあえず失敗してもいいからやってみようと言ってくれますし、おかげで経験から学ぶことができています。
例えばDERTAが定期開催するイベント「DERTA JAM with BEECL」のファシリテーターも、初めは「デザインの知識を持たない私が、デザインのイベントのファシリテーターなんてできるわけない」と思っていました。でも、「サポートするし、絶対に大丈夫だからとりあえずやってみて」という後押しがあってやってみたら、実際楽しかったんです。そういう体験を通して、「とりあえずやってみる」ことが重要だとすごく感じています。挑戦してダメだったら改善すればいいんです。やってみて、改善して、を繰り返すことが大事なんですよね。
でも、一人で一歩踏み出すには勇気がいります。だから、そこをコミュニティの力を使って一緒にやりたいんです。私はDERTAに入って、人前に立って話すことや、企画段階からイベントを立ち上げること、コミュニティを作ることなど、今までできなかったことができるようになりました。私でもできたんだから、きっと皆さんもできると思うんです。私だけではまだ知識も浅く、完全に伴走するには力不足な部分もあると思いますが、その思いに共感し、DERTAのみんなやコミュニティメンバーの方々と繋ぎながら、実現まで一緒に走ることはできる。だから、一緒に一歩踏み出そう!と思っていますね。
外に出て、広がった世界
ー華さんは元々、保育士志望だったそうですね。
齋藤華さん:実は出身は群馬県で、幼稚園の途中から数年間新潟で暮らしていたんです。引っ越したばかりは友達が全くいなくて、初めはずっと泣いていました。
でも、そのときの担任の先生がとても優しくて、泣いている私に常に寄り添って、ずっと一緒にいてくれたんです。先生がみんなの前に出て話しているときも、私は他の子と一緒に座らず先生の足にくっついていましたし、先生のトイレにまでついて行ったくらい(笑)私の気持ちをわかってくれて、常に寄り添ってくれる先生に出会って、私もそんな幼稚園の先生になりたいと思うようになりました。
今は違う道を歩んではいますが、「自分の気持ちに寄り添ってもらえて嬉しかった経験」が私の原体験としてあるんだと思います。
ー”寄り添い”は今に通じるもののように感じます。
齋藤華さん:そうですね。私が目指すコミュニティは、誰もが”今の自分をアップデートしたくなったとき”に、いつでも受け入れてあげられる場所なんです。何かを学びたい、人とつながりたいというモチベーションが生まれたときに、それを取りこぼさずに支えたいと思っています。そういう前向きな思いに寄り添い、一緒に高め合える仲間に、私はなりたいんです。
コミュニティへの思い入れは、DERTAに入ってから、より強まったと感じます。
ーこれからのビジョンはありますか?
齋藤華さん:実は、お恥ずかしながら、将来の夢とか、ビジョンとかってあまりないんです(笑)
ある程度到達点を決めておいたほうがいいのかもしれませんが、私はDERTAの、とりあえずプロトタイプを作って、試していこうっていう考え方がすごく好きで。だから自分の人生においても、自分の興味が赴くまま新しいことにどんどんチャレンジしていく中で、その先の道や目標を見出していけばいいかなと思っています。
DERTAには、新潟と首都圏の情報や人材の格差を埋めたいという目標に向かって、色々な方向から道を切り開いていっている方々がいるので、私も刺激を受けて、未来に希望を持てるようになりました。まだ皆さんについていっている形ではありますが、自分はもっと成長できるし、可能性を広げられると強く感じています。
ー華さん自身も、環境の変化によって「自分」を見る目がアップデートされたんですね。
齋藤華さん:そうですね、世界を広げるのは大事だと思います。
例えば、肩書き的には「営業」でも、クライアントの目標設定のサポートや進捗管理、多方面とのやりとりなど、プロジェクト全体のマネジメントをしている方がいたら、それはもうプロジェクトマネージャーですよね。一つの環境しか知らないことで、やってきたことが他にどう活かせるかも分からず、無意識的に自分の可能性を狭めてしまうかもしれません。
一度外に出てみることで、自分の職探しや学びの分野の選択肢が広がると思います。
ー若者に向けて、なにかメッセージはありますか?
齋藤華さん:悩んだら外に出てほしい、ですかね。
外の世界に出て、一緒に考えてくれる人や、教えてくれる人と繋がることで、学びのスピードや深さが格段に良くなると思います。私自身もそうでした。
あとは、自分から発信してほしいです。
私は自分から発信することで、DERTAに見つけてもらえて、今があります。それができる土壌があるかどうかにもよるとは思いますが、臆せずに意見を発信してほしいですね。
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DERTAに入社したことで、自分の可能性の広がりを感じたという華さん。
そのコミュニティへの恩は、周りの人に還元したいという思いへと繋がっています。
そんな華さんが目指すのは、前向きな思いを受け止め、共に高め合えるコミュニティです。
ただ応援するのではなく、気持ちに寄り添って共に歩むその姿勢は、ご自身の体験と性格に起因しているようでした。
皆さんは、自分がコミュニティに対して何ができるか、意識していますでしょうか。
正直なところ、私はあまり意識したことがありませんでした。
コミュニティをマネジメントするという観点からは、学ぶことが多そうですね。
- 齋藤 華さん
さいとう はな|コミュニティマネージャー
1997年生まれ、群馬県出身。新潟県立大学を卒業後、地元印刷会社に3年間勤務。2022年5月、株式会社DERTAにジョイン。現在は同社運営の新潟ゆかりのクリエイターコミュニティ「cos DERTA(コサインデルタ)」のコミュニティマネージャーとして、コミュニティ設計・メンバーとの交流やイベント企画・運営に携わっている。また、コミュニティマネージャ業務と並行して、サービスデザインを軸としたプロジェクトマネジメント業務も行う。