新潟で世界一のサウナをつくる!HIJILIを通して伝える石川聖也さんの挑戦

HIJILIinc.代表石川聖也さん

幼少期の夢を叶え、建築士の道へ

SIA inc.住宅2

ー学生時代から建築分野に興味を持たれていたんですか?

石川聖也さん:そうですね。幼い頃からぼんやりと建築家という仕事に興味を持ち始めていたと思います。

小学生の頃に親が家を新築したんですが、子供ながらにそれを見ていてとても面白かったんですよ。僕は当時から図工や工作が好きで、プラモデルなどをよく作っていたので、大工さんが作っていく家の工程がプラモデルみたいに面白そうに見えて(笑)

それから、いつか建築や設計の仕事に就きたいと思うようになりました。高校で新潟工業の建築科に進学をして、その後は新潟日建工科専門学校に進学しました。専門学校在学中に、2級建築士を取得して卒業をし、デザイン事務所に就職しました。

 

ー建築の学校から、どうしてデザイン事務所に入ろうと思われたのでしょうか。

石川聖也さん:もともとは設計事務所に勤めたいと思っていたんです。でも長い目で自分のキャリアを考えたときに、まずは修行をするべきだなと思って。そして、当時お世話になった先生に「勉強や経験にもなるから、今やりたいこととは違うかもしれないけど行ってみたらどうか」とデザイン事務所を紹介してもらったんです。自分自身も、良いご縁だと思い就職することにしました。今思い返してみても、設計事務所では学べないことをたくさん経験できたので、先生の助言通りこの道を選んで良かったと思っています。

 

ー実際にどのようなお仕事をされていらっしゃったんですか?

石川聖也さん:そこでは、主にハードオフさんの店舗設計を担当していました。経験を積むごとに任される幅が広がっていき、全国のハードオフの店舗設計を3年ほど担当しました。

また、新発田の商店街にあるシャッターに彩りのある『シャッターアート』を描こうというプロジェクトも担当しました。企画構想から、イラストレーターで原画製作をし、それを実寸に写して、プレシングペーパーとトレーシングペーパーを重ねていくんです。実際にシャッターに塗る作業は、地域の方や子ども達と行ったのですが、凸凹なシャッターに絵を描くことはほんとに難しくて(笑)沢山の人と作り上げたという意味でも、大掛かりな仕事を担当したという意味でも、とても印象に残る仕事でしたね。

 

ー建築というより、デザインの要素が強いんですね。

石川聖也さん:そうですね。ハードオフの店舗設計はインテリアデザインの意味合いが強いです。建築的な思考力よりも、レイアウトや、お客さんが回遊するための動線に思考を凝らしていましたね。

しかし、僕は建築士の勉強しかしてこなかったので、分からないことだらけで結構苦労しました(笑)先輩からデザインのことを教えてもらったり、勉強と経験を繰り返して、なんとかここまでこれたと感じています。

 

ーその後のキャリアを教えてください。

石川聖也さん:その後は住宅設計の経験を積みたくて、ハウスメーカーに転職をしました。

この会社に決めた理由は2つあって、1つは僕の地元である新潟でやっていること、そして2つ目は僕が小学生の頃に新築した家を手がけた会社だったことです。僕の夢のきっかけにもなった会社で経験を積めるなんて素敵だなと思い入社を決め、設計部で6年間住宅設計を学びました。

 

何十年も愛される家を作るために

SIA inc.住宅

ーその後、石田伸一建築事務所さん(SIA inc.)に転職をされたんですね。

石川聖也さん:はい。住宅設計を学ぶうちに家づくりや性能、デザインへのこだわりが強くなってきたんです。ハウスメーカーとしての経験は積めたから、次はこだわりや思想信念を持つ設計事務所に勤めたいと思うようになりました。

そんな時にSIA inc.の代表 石田さんと出会いました。もともとSNSを通して石田さんのことは知っていましたが、SIA inc.として独立して最初に手がけた住宅の展示会へ見学に行かせていただいたんです。その時に家づくりのビジョンや想いを聞かせてもらって、とてつもなく共感したんです(笑)その勢いのまま石田さんのところで働きたいと伝え、従業員としてSIA inc.に勤めることになりました。今から3年ほど前の話になりますね。

 

ーどんなところに共感をされたのでしょうか。 

石川聖也さん:一番は地元の材料を使うことへのこだわりですね。「地材地建」と言っているのですが、SIA inc.の住宅では地元の材料である魚沼杉にこだわっています

例えば、ローコストのハウスメーカーなどは外壁にサイディング(建物の外壁に使用する外壁材の一種)を使うことが多いんですが、SIA inc.の住宅は外壁に木を使います。サイディングは30-40年単位で見るとすごく劣化して見栄えも崩れてしまって、適宜メンテナンスを行う必要があります。一方で、木の外壁を使うと革製品や時計と同じように味が出てくるんです。

普通の住宅だと時間が経てば劣化して価値が下がり「経年劣化」していくように感じてしまいますが、木の外壁は時間が経てば経つほど愛着が湧いて魅力も増します。僕たちの会社ではこれを「経年優化」と呼んでいます。

僕も建築をやっていく中で、長く愛されるものを作っていくべきだと思っているので、この考え方にとても共感したんです。

 

ー経年優化ってとても良い言葉ですね。

石川聖也さん:古い家は解体して、新しい家を建てるというのが一般的なんですけど、僕が思う理想の家は「ずっと使い続けていくもの」なんです。何十年も愛される家を作りたいと思っています。

経年優化

***

 

今回は石川聖也さんにサウナの魅力やサウナ建築というキャリア、そして新潟で築く意味を語っていただきました!

実は新潟って、サウナ愛好家の割合が日本で2番目に高いのだそうです!ご存じでしたか?(私は知りませんでした)
それなのにサウナ施設の数は全国的にみてもかなり少ない方です。特に新潟市内はサウナが少ないと感じている人が多いのではないでしょうか。

石川さんはそんな県内のニーズに着目しつつ、サウナを通じて自慢の故郷である新潟を発信できるよう挑戦しています。
サウナで整った瞬間って、自然の素晴らしさをダイレクトに感じるんです」と言いながら、佐渡のサウナ企画について話している姿がとても印象的でした。

地元への愛や敬意で包まれた「サ活」
私もぜひ参加してみたいです!

 

石川聖也さん
いしかわ まさや|建築士


一級建築士。1988年佐渡生まれ。専門学校卒業後、デザイン事務所、ハウスメーカーを経て2019年より石田伸一建築事務所に所属。2021年11月 HIJILI inc.を起業。サウナイベント、「タキビサウナ」の主催や、サウナ施設の設計、企画・プロデュース、サウナアパレルなどのプロダクト開発を行っている。

 

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渋谷修太さん
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