「子連れ出勤」やってみたからこそ分かる!ワーキングママのキャリアの可能性

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共働き家庭が増えて、キャリアと子育てに関する話題が注目されやすいこの時代。

男性の育休取得率はこの5年間で約2.5倍に増加し24.4%となり*1、女性の管理職率も増加傾向が続いており*2、いずれも理想値には及んでいないものの、働き方や生き方の改革が進んでいるように見受けられます。

しかしながら、企業や業界、エリアによって未だ女性にとっての子育てによるキャリアの壁は確かに存在しており、全てのワーキングママの働く環境が整ったとは依然として言えない状況なのではないでしょうか。

そう綴る筆者もワーキングママの1人。自身の職場はどうかというと、実はオフィスメンバーの全員がワーキングママ。会社自体も、全体の半数以上いる女性社員のうち50%がワーキングママです。そんな職場では、状況に応じて「子連れ出勤」をすることも日常的な光景。

しかし、一般的には「子連れ出勤」や「子連れ出張」は、どのように考えられているのでしょうか?
今回は、会社に勤めている方々にアンケートを実施し、「子連れ出勤に対する考え」を伺ってきました。
仕事と子育て、ウェルビーイングを考える一環で、これを機にあなたも「子連れ出勤」について考えてみてください。

*1 積水ハウス株式会社調べ『男性育休白書2023』参考
*2 株式会社帝国データバンク2021年調べ『特別企画 : 女性登用に対する企業の意識調査(2021 年)』参考

子連れ出勤が注目される背景

近年、「子連れ出勤」が注目されている背景には、柔軟な働き方へのニーズや働く親・キャリアを継続したい親の増加、さらに新型コロナウイルスによる仕事環境の変化などが影響しているといわれています。

日本では2019年4月1日より、働き方改革関連法案の一部が施行され、現在では大企業だけでなく中小企業においても”働きやすい環境づくり”は重要な経営課題の一つとして世の中に認識されています。これにより、柔軟な働き方や子育てと両立しやすい働き方が模索され、働く親のさまざまなニーズが高まってきました。

柔軟な働き方ができる環境が整備されつつある中で、子育てをしながら働く親や、キャリアを継続したいワーキングママの数も増えてきている現状があります。

また、2020年新型コロナウイルスの蔓延により、注目されつつあったリモートワークやオンライン環境などが一気に加速しました。仕事を自宅などから行うことが可能となり、子供がいる自宅でリモートワークをしたりする出勤スタイルも現実的な選択肢となったため、オフィスに子供を連れてくる「子連れ出社」はハードルが高いにしても多様なカタチの働き方を含めた「子連れ出勤」は実用性もあって有効なスタイルであるといえます。

 

子連れ出勤を実践するメリットと課題

では、実際に「子連れ出勤」をすることは、雇用主や労働者双方にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。また、それに伴う課題はなんなのでしょうか。

「子連れ出勤」のメリット

子育てによる出勤の弊害を解消

子供が幼ければ特に、子連れ出勤は一概に「有難い制度」と言えるわけではありません。しかし、子連れ出勤ができる環境が整っていることによって、子供を保育施設に預けることができない事態の際にも対応することが可能になります。

 

働く親の雇用継続

親になることを意識した女性にとって、子供を育てながら続けられる会社(仕事)かどうかはとても重要な問題です。それに伴った視点で仕事を選び、場合に追っては転職活動をする女性もいるでしょう。したがって、子連れ出勤が可能な場合、特に女性は働き続ける意欲が高まるとも考えられます。

 

雇用主としての魅力向上

子連れ出勤ができる制度や環境を整えている企業は従業員に対するサポートがあるとみなされ、企業イメージの向上につながることでしょう。子育てと仕事の両立を重視して仕事選びをしている求職者にとっては何よりの魅力です。労働市場の競争において優位に印象付けることができることでしょう。

 

労働時間に対する生産性向上

子供がいる環境で働く親にとって、限られたタイミングで効率よくタスクを処理することは仕事に限らず子育てをする上では大鉄則のようなもの。残業もできない、プライベートの時間でこっそり仕事を処理することもできない、ある時間を最大限に有効活用する意識が高まっている親のタイムパフォーマンスはとても高まっていることでしょう。

 

「子連れ出勤」の課題

仕事と子育てのバランスの難しさ

子供は親の意識が自分に向いていないと嫌だと感じてしまうものです。幼い子供であれば特に、親が仕事中かどうかは子供にとって関係のないことですから。親に仕事をさせないように、自分から意識を反らさないように、あの手この手を使って仕事の妨害をしてくることでしょう。それが親にとってストレスになり、「子連れ出勤」が逆に悪い機能として働いてしまう危険性もあります。

オフィスに「子連れ出勤」できるような環境を整備する場合は、子供の保育環境なども整えるなど、丁寧に対応しなければ意味を成さないでしょう。

 

仕事のパフォーマンスへの影響

子供が仕事場にいることで、仕事への集中が難しくなる場合があります。子供が近くにいる場合、その様子が機になるのは親と敷いて当然ですから、特に集中を要する業務やミーティングにおいて、パフォーマンスに影響が及ぶ可能性があります。こちらもまた、保育してくれる存在が肝となってきます。

 

予期せぬトラブルへの対処

子供が仕事場にいることは、予期せぬトラブルや怪我にもつながる危険性があり十分注意する必要があります。体調を崩すことのほかに、誤飲などにも気をつけなければなりません。

 

実際に「子連れ出勤」をしてみて

 

子連れ出勤を実際に経験している私は、「子連れ」の働き方に関してこんなことを感じています。

まず、私の務める会社はベンチャー企業ということもあって、多様なメンバーに合わせた柔軟な働き方ができる職場です。
普段はオフィスに出社しているのですが、子供の体調不良や予防接種などの時には時間休を活用して通院させ、そのまま自宅で子供を看ながらリモートワークをするなども可能です。

子供が飽きない程度の時間でしたら、子供を連れてオフィスに出社して仕事をすることもあります。ただ、まだ子供が1人で何でもできる歳ではないので、やはり集中できなくて正直仕事にならないことも。その点、同じ職場の小中学生ママさんは、夏休みに子供をオフィスに連れてくることがあり、子供は宿題、親は仕事をしているといった状況で、とても充実していそうに見えます(笑)

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つまり、子供が小さいうちは子供をみながら仕事をすることはとてもハード。また、業務への支障が自分の意識ではどうにもならないレベルで生じてきますので、極力「子連れ出勤」は避けたいことではあります。

しかし、例えば新型コロナウイルスがまだ5類になっていなかった昨年の話。保育施設を預かり保育なども含めて長時間利用しているうちの子は、多様な子供との接触があるためにかなりの頻度で「濃厚接触者」に認定されておりました。

そうなると数日は保育施設に登園させられません。私の場合はリモートなどで何とか乗り切りましたが、他のママさんたちは子供の看護休暇や有給休暇を全て使い果たしてしまい、無給休暇にせざる得ない方がたくさんいました。

 

そういった状況があると思うと、リモート環境でもオフィス環境でも何でもいいので、とにかく「子連れ」でお仕事ができる環境はより多くの職場でもっと整えていって欲しいと考えます。

 

「子連れ出勤」に対する様々な声

ここまでの内容を踏まえて、おそらくリモートワークなどで子育てと仕事を両立させることは、多くの働く親にとって嬉しい環境整備でしょう。

しかし、「子連れ」でオフィスに出社することや、はたまた「子連れ出張」をすることに関して、母親だけでなく、父親、単身者など、企業に勤めている方々は一般的にどのように感じているのでしょうか。

今回は企業に勤める方々、約20名を対象に「子連れ出勤」や「子連れ出張」などについてアンケートを実施しました。

「子連れ出社」や「子連れ出張」に対する意識調査の結果

まず未就学児の子を持つ母親に「もし、職場の制度や環境が整っているならば、あなたは子連れで会社出勤したいと思いますか」という質問をしてみました。これに対して、以下の結果が得られました。

未就学親・子連れ出勤に対して

ここでは「子連れ出社を積極的に活用したい」という意見は0票でした。同じアンケートを小学生の子を持つ母親にも実施してみたところ、こちらの結果は、「状況に応じてうまく活用したい」50%、「子連れでは出社しない」50%
上記同様「積極的に活用したい」という意見はありませんでした。

 

では「子連れ出張」に関しては、母親たちはどのように考えているのでしょうか。
もし、職場が子連れ出張を承認している場合、あなたは子連れで出張へ行きたいとおもいますか
こちらの質問に対して、未就学児の子を持つ母親からはこのような結果が得られました。

未就学児親・子連れ出張に対して

これが小学生の子を持つ母親の場合は以下のような結果となりました。

子供が普段小学校に通っているからこそ、勉強の遅れが気になるので出社にも出勤にも、やむを得ない状況でもない限り付き合わせたくない、という意見がある一方で、すでに長期休みなどで「子連れ出社」を経験したことがある親からは、子供にとって社会勉強になったようでいい刺激となれた気がするから、今後も状況次第ではあるがうまく活用していきたい、といった意見なども。

小学生親・子連れ出張に対して

父親を対象としたアンケートからは、子育ての大変さを知っているからこそ、制度だけがあっても実際につかえるかというとなかなか難しいのではないか、だったり託児所を設けるなど、これまでの概念に囚われすぎずに環境を整備していく必要がある、といった意見が揃う結果に。

まとめ

今回の記事では、「子連れ出勤」について注目されている背景や、さまざまな意見なども含めて触れてみました。

「託児所完備」というキーワードが求職者向けサービスや媒体で使われることが増えてきている昨今、子育てをしながら働く親にとっての”働きやすい環境”を整備することは、各企業や雇用主にとって重要な経営課題の一つであり、生き残っていくためにも向き合わなくてはいけないポイントです。

ワーキングママにとっては、これから徐々に広範囲で働きやすい環境が整えられていくことでしょう。
だからこそ、我々女性やワーキングママたちは「理想の働き方を求めることができる」「キャリアを諦めない働き方ができる」ということを認知し、”求める動き”をしていくことが重要となっています。

地方に住んでいる、経験が乏しい、自分に自信がない、さまざまな理由があるかもしれませんし、女性にとって子育てのためにキャリアが中断すること自体が「悪」といえるわけではありません。しかし、我々の労働寿命は長いです。受け身となって”働かされる人生”を歩むのではなく、働いている時間や子育て期だって”自ら掴んで充実させた人生”の一部にしていきたいものですね。