結婚と出産、変化するライフスタイルから見つけた”私のやりたいこと”とは
ーその後、現在の会社にどう繋がっていったのでしょうか。
本間 千尋さん:仕事自体は楽しかったのですが、「やりたいこと」は料理ではないと感じていて、なおかつ近い将来で新潟に戻りたいという思いもあったので、2人目の子を産むときに次の仕事を探し始めました。
東京でもCSRや地域づくりに関われる仕事ができないかと思っていた中で、現在所属する会社である株式会社studio-Lを思い出しました。
朝日酒造で働いていた時からstudio-Lのプロジェクトはよく目にしていました。「この地域を良くしていきたい」という住民の気持ちをひき引き出す「コミュニティデザイン」の仕組みや代表の山崎亮さんの考え方に惹かれ、インターンに思い切って応募することにしました。
その後面接を経て、2020年6月頃からインターンを開始しました。はじめは週1回で関わらせていただき、段々と任せていただける仕事が増え、徐々に本格的に参加していきました。その年の12月に新潟へUターンし、翌年の4月に子どもたちの保育園がはじまるタイミングで正式にスタッフとして合流しました。
ーそのタイミングでUターンをしたのはなぜですか。
本間 千尋さん:コロナが蔓延して以来、夫婦揃ってリモートワークとなり、家が手狭になったからですね。
引っ越し先を探し始めたとき、都内で必要な広さを確保しようとするとあまりにも家賃が高く、家賃のために働くのも嫌なので、いっそ新潟にUターンしよう!となりました(笑)
ほとんど勢いで決断したのですが、夫婦ともに新潟出身なので両親とも近くなるし、「いつか」と考えていたことが「今」きただけのことでした。
母だからこそ!やりたいことをして輝いていたい
ー実際にUターンしてみて、周囲のサポートなどは得やすくなりましたか。
本間 千尋さん:東京にいた頃と比べると、サポートは得やすくなりました。でも内心はもっと頼りたいんですけど、コロナへの感染対策を考えると、助けを求めづらい状況でもあるので難しいですね。
それでも、月に1回はお世話になっています。主人もリモートワークで普段から家におり、常にフォローし合えるので、仕事も家事も子育てもやりやすいですね。
ー私はよく仕事と子育てに一杯一杯になるのですが、あまりそういうことはないですか。
本間 千尋さん:いえ、そこは私も同じです(笑)常に追われてる感じですね。
リモートワークの欠点でもあるのでしょうが、家で仕事ができてしまうからこそ境目が無くなっているようにも感じます。
フォローし合える環境とはいえど、私がたまに地方出張に行ったりすると、2児のワンオペに主人が疲弊していたりもしますよ(笑)
主人の仕事も場所を問わずにできるので、なんなら家族揃って地方に遠征し、「子連れワーケーション」ができれば良いんですけどね!行った先で子どもを預かってくれるようなサービスさえあれば、本当に実現できるのにな。
ー本間さんの「選択基準」や「価値観」は、人生のどこが原点になっているのでしょうか。
本間 千尋さん:最近になって思うのですが、私は幼少期から児童館で過ごしたりジュニアリーダーズクラブに入ったり、親元を離れて、いろんな大人達と触れ合う機会を何度も経験していたんですよね。
それから、おばあちゃんっ子だったこともあり、どちらかというと同世代よりも多世代交流の方が好きだったかもしれません。
ーそういった経験が、今に繋がっていったのですね。
本間 千尋さん:そうですね。”地域への意識”はまさに幼少期に築いたものが影響していると思います。
同世代との横のつながりも大切ですけど、それと同じくらい多世代や地域との縦のつながりも大切だと感じています。小さい頃から多様な面白い人達に出会っていたので、躊躇なく地元に帰る選択もできたんでしょうね。
だからこそ、子どもたちにはたくさんのコミュニティに触れ合わせてあげたいんです。
ー今の生活スタイルをとる中で、大切にしていることはなんですか。
本間 千尋さん:家族に配慮しながらも、まずは自分自身がやりたいことをして輝くことですね。やりたいことがある場合に、どうしたら実現できるかを考えて積極的に挑戦していきたいと考えています。
現在は、以前から携わってみたかったコミュニティデザインの仕事ができ、とても学びの多い日々を過ごしています。また、子どもたちに働く姿を見せることも大事だと考えています。
非営利プロジェクトでチャリティショップの運営に携わっているのですが、子どもたちもチャリティショップのボランティアに参加してくれていて、その中で何かを吸収してくれているだろうと感じています。家庭で見せるお母さんではない姿を子どもたちに見せられて、子どもにとっても家族や友達以外の人と触れ合う機会はとても価値あることではないかと思っているんです。
これからも輝いているお母さん像を子どもたちに見せていきたいですし、家族で協力しながら自分なりの多様なスタイルを見つけていきたいなと思います。
***
今回は、フルリモートワーカーとして株式会社studio-Lで活躍する本間千尋さんからお話を伺ってきました。
学生時代にさまざまな国や地域の”多様性”に触れ、その中で”自分のやりたいこと”へ様々な角度から挑戦してきた本間さん。
住む場所が変わり、母になって、暮らしはこれほどに変化していても、軸は変わらない。目標に対するスタンスも変わらない。
そんな本間さんの姿勢に、同じワーママとしてたくさんの刺激を受けました。
「子どもたちに広い世界を見せてあげたいからこそ、私や夫が率先していろんな世界を見に行くんです」と語ってくれた本間さん。
自分が子供に見せてあげたい世界、見せてあげられる世界、考えるきっかけをいただけたことに感謝。
- 本間 千尋さん
ほんま ちひろ|コミュニティデザイナー
1988年長岡市生まれ。長岡高等学校卒業後、横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程へ進学。卒業後は、長岡市の朝日酒造株式会社にて文化事業、広報を担当。妊娠を機に上京し、株式会社ガイアックスへ転職。飲食事業およびコーチングサービスの運営等に携わる。第二子出産後2020年から株式会社studio-Lへインターンとして関わり始め、Uターンを経て2021年4月に東京事務所スタッフとしてstudio-Lに参画。新潟市に在住しながら全国のコミュニティデザインに関わる。
株式会社studio-L公式HP:https://studio-l.org/
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