ソルメディエージ丸山健太さんが新潟に感じる未来。挑み続けるのは、誰よりも”夢中”でいられているから。

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世界を見てきたからこそ、気付くことができる幸せ

ー丸山さんは世界中と新潟を行き来されていますよね。海外だからこそ学べることは何だと考えますか。

丸山健太さん:先日もラスベガスに行きましたが、勉強だと思って行ってはいないんです。海外旅行って楽しいですし、自分の当たり前が当たり前ではないことに気づかされますよね。人生初の海外旅行は大学の卒業旅行で、たしか香港に行きました。その時、日本とは全く異なるアジアの多様性に圧倒されました。

社会人になって、海外の展示会に出たときには、自分の悩みのスケールの小ささに気づかされましたし、雑踏の中で東京の整った都会感を改めて感じたり、新たな発見がありました。

だからうちの会社は、創業当初のお金がない時から、社員旅行は海外に行っているんです。コロナの影響で海外にいけなくなった期間は、自分にとってはインプットが止まってしまってマイナスの影響を大きく感じていました。常にアウトプットしてる仕事だからこそ、インプットが必要ですし、本物を見ておくことを大切にしています。

今はYouTubeでも情報が集められますが、実際に現地で見てきた人の説得力と感覚は別格です。
本物を、実物を見たからこそ言える提案をとても大切にしています。
自分が見て体験して、良くないものは良くないとハッキリお客様にお伝えしますし、そこは責任を持って提案をしています。
自分の生活領域からとび出してものを見るという経験は、課題も含めてさまざまな発見があり、自身の発想領域を広げてくれます。

今でも覚えているのが、前職の社長が、「ラスベガスに行かないでエンターテインメントは語れない」と言っていたことです。
ショービジネスのメッカと言われるラスベガスをはじめ、そもそもエンターテインメントは欧米から発達してきた文化なので、日本でやるにしても、世界の1番を見ているか見ていないかはとても大きな違いとなって提案に現れます。

これは私の業種に限らずですが、やはり現地で本物に触れているか触れていないかというのは、情報がネットから収集できる現代だからこそ、とても大切なことだと思います。

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ー世界を見ているからこそ感じる、新潟のポテンシャルって何でしょうか。

丸山健太さん:最近は起業家も増え、本社を新潟に移転するお話もよく聞くようになってきました。新潟って食や、自然の魅力はもちろん、交通インフラも悪くないですよね。2時間で東京に行ける環境や、航路だってある。

ただ、それ以上に人間が素敵です。
私が新潟に帰ってきたとき、新しいことにチャレンジする自分たちの背中を押してくれる人たちがとても多かったんです。今みたいにスタートアップという言葉も、女性起業も一般的ではないときから、応援してやるからやってみろよ、という人が多かったわけです。

私が今、ベンチャー協会をはじめ若手育成活動に参加しているのは、お金が軸ではなく、自分が若いときにやってもらったことを後輩にも繋げたい、伝えたい、ということが理由になっていると思います。

今まで、東京を含め全国各地で仕事をしてきましたが、本社を新潟から移そうと検討したことは一度もありません。
やっている事業をみて、多くのクライアントさんからなぜ新潟でやっているの?と聞かれます(笑)
なぜかというと、弊社は新潟に育ててもらった会社ですし、この20年、会社がやってこれたのは、新潟にいる多くの人たちのおかげだからです。新潟に本社をおきながら動くことは、ある意味当然だと思っているところがあります。

全国や世界でも戦えるスキルとノウハウとアイデアを持っていれば、どこに住んでいたっていいと思っていますが、自分が非常に高いポテンシャルを持って挑戦できるのは、新潟という環境に自分を置いているからかもしれません。これは、コロナ後から特に強く思うようになりました。それはやはりメンタリティーにおいても非常に重要なポイントです。

逆に、新潟で仕事をするということ自体に、自分たち自身が誇りに思わなきゃいけないことだと思います。
住み暮らす街のことですし、自分がそこで毎日を生きる当事者なんですから。
もっと夢中に一所懸命に、向き合わなくてはいけないなと思っています。

新潟以外の地域、世界を見てきたからこそ、新潟の素晴らしさを強く感じているのかもしれませんし、子どもができたりしたからこそ気づけた点かもしれません。
昔は、そんなことは意識していませんでしたが、今は新潟に拠点をおくこと自体に誇りを持っています。
世界でも通じる日本国の新潟として、今後も新潟を掲げて挑戦する所存です。

 

ずっと変わっていない想い

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ー自分がやってもらったように、新潟の若手の方々も育てていきたいし、新潟のためという誇りを持ってやっていきたい、というのが、丸山さんのこれからのミッションですか。

丸山健太さん:育てたいというより、過程を一緒に楽しみたいです。育成とかいう意識は全くないですから(笑) 共に人生を楽しみ、周りをハッピーにできる人間を増やしていきたいですね。
人のことを色眼鏡で見ることはないようにしていますが、私も面白い人と付き合いたいし、夢中になっている人と付き合いたいんです。
仕事も、ビジネス的な付き合いではなく、お互いが面白がっている付き合いから発展していることが多いです。
仕事前提ではなく、人間として付き合いたいんです。

上から教える必要はなくて「けんさんに相談してみよう!」って気軽に聞いてくる後輩に応じる、それで十分じゃないですか。
ただ、諸先輩に教えていただいた「ならぬものはならぬ」というマナーや常識はしっかりと伝えていかなきゃとは思っています(老害と嫌われない程度に。笑)

 

ー素敵なアニキですね。幼少期の頃のお話から聞かせていただいて、きっと丸山さんのお人柄は変わっていないんだろうと感じました。

丸山健太さん:何度も言いますが、他人がやっていないことをやりたかったり、人を喜ばせたいという思いは幼少期からずっと変わっていませんね。

VRスタジオもプロジェクションマッピングも、これから流行りそうだからやったのではなく、自分が感じた「夢中」と「面白い」があったからスタートした結果です。
夢中になるくらい没頭した結果がサービスとなり、それがクライアントをも夢中にし、しっかり双方の良い結果として形に現れてくること、これほど幸せなことはありません。
ただそれは趣味でも遊びでもなく、ビジネスで責任があるからこそ、正直に冷静に判断し行動することはとても大切です。

私は幼少期からネタの引き出しが多いんだと思います。それは今まで、全く人を選ばずにいろんな人と付き合ってきて、いろんな趣味や感覚を体験してきたからです。
感受性が元々高かったのもあると思います。流行りを追うのではなく、正直に自分の体験から得た引き出しから出すことがとても大切です。

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今回は、株式会社ソルメディエージの代表、丸山健太さんからお話を伺ってきました。

丸山さんは、「関わる全ての人を、我々の【夢中】へと巻き込みながら、共に喜び、夢のある毎日を生み出していきたい。それこそが使命だと思っております」と語ってくださいました。

新潟には、こんなにも真っ直ぐに、地域の未来や仕事への愛情を持っている大人がいるんですね。
まだまだ、新潟には面白いことを考えている大人や見たことのない姿があるのだと、ここで育った若者たちに気づいてもらえたら嬉しいです。

 

丸山 健太さん
まるやま けんた|経営者


1977年三条市生まれ。学生時代、野外フェス等での映像・空間演出をきっかけに、都内の照明・映像関連会社へ入社。2003年、東京・新潟にてソルメディエージを起業。新潟から日本全国、世界を舞台にデザインワークを主軸とし、WEB制作、映像制作、そしてプロジェクションマッピングやライトアップ、イルミネーション等の企画やコンテンツ開発とハードからソフトまで一貫したプロデュースを得意としている。2020年には新潟市のイノベーション拠点「NINNO」にサテライトスタジオを開設。また2022年には新社屋移転と共に、地方では最大級のバーチャルスタジオを開設と新たな配信コンテンツの分野の挑戦をスタート。一般財団法人プロジェクションマッピング協会理事。新潟ベンチャー協会理事。

株式会社ソルメディエージ:https://www.solu-mediage.com/

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