言語化して届ける!「言葉」を軸に広がった元ラジオパーソナリティ白岩ましろさんのキャリアとは

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今回は、元FMラジオパーソナリティ白岩ましろさんに取材してきました。
新卒でFMラジオ放送局に入局した後、「言語化」を軸にキャリアを展開していった白岩さん。

この記事では、言語化と伝えることのプロフェッショナルである白岩ましろさんに、ご自身のキャリア展開について伺ってきました。そこで知った、「言葉」にまつわるスキルの習得方法などをご紹介します。

 

「音だけで伝える世界」に魅せられた学生時代

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ーラジオパーソナリティーがファーストキャリアである白岩さんですが、目指し始めたきっかけは何だったのでしょうか?

白岩ましろさん:現実的に目指すようになったきっかけは就活が始まったことですね。元々ラジオは好きだったんですが、現実的になることができる職業として考えてはいませんでしたが。でも就活が始まったことで自分のやりたいことや夢を整理して、夢を追うかどうか選択するラストチャンスになるかも、後悔しないよう勝負してみよう!と決意しました。

そして、アナウンススクールへ入学し、大学に通いながら週2回の授業を2年間受けるんです。周りはテレビのアナウンサー志望ばかりで、ラジオ局志望は私くらいの環境だったのですが、厳しさで有名なスクールだったため、それはもう必死でしたね。

 

ーアナウンススクールの”厳しさ”とは、どういった点での厳しさだったのでしょうか?

白岩ましろさん:人間力を鍛えられる厳しさでした。特に”時間”に対する意識は、そこで身につきました。
例えば、初日の学校見学会で集合時間の15分前に訪問した学生は、見学させてもらえずに帰されるといった具合ですね。集合時間の10分以上前に行くことは、先方のご迷惑になります。「早めに到着しておきたい」は自分の都合ですからね。
他にも体調管理の意識など、アナウンス技術以前の部分から徹底的に鍛え上げられました。
ーアナウンサーになることの厳しさに相応して、アナウンススクールも厳しくて狭き門なのでしょうね。それを知りながら目指すほど、ラジオのどんなところに魅力を感じていたのでしょうか。

音楽に携われることが、最大の魅力でした。元々音楽が大好きで、ピアノやギターを弾いたり、レンタルショップでCDを借りて、iPodに何万曲もいれているような学生でした。その延長で、FMラジオが好きになったんです。

AMと違ってFMは音楽が中心で若者向けの番組展開をすることが多いです。
CDのリリースより先に、FMラジオで新曲が聴けたりもして、それが魅力的でしたね。

 

ラジオ番組を企画する中で鍛えられたスキル

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ーそんな中、見事第一志望であったFMラジオのパーソナリティになったのですね。具体的にはどのようなお仕事をなさっていたのでしょうか。

白岩ましろさん:就職先のFM-NIIGATAでは、番組制作から全て携わらせていただいていました。企画、原稿作成、テーマ設定やそれに合う選曲、音素材も作りました。

自分の番組だけではなく、他のパーソナリティの番組を制作することもあって、自分以外の発信者であることを想定して考えるのが面白かったです。ある意味、発信者に憑依するような感覚ですね。

メインリスナーやパーソナリティたちが、何に懐かしさを感じ、何に共感するか、などを調べ尽くし、憑依するための材料を獲得します。それを繰り返すことで、自分、発信者、リスナー、いろんな視点を行き来できるようになった気がします。

 

ー自分以外の視点を行き来するって難しいですよね。なにかコツがあるのでしょうか。

白岩ましろさん:最初は私も苦手だったのですが、数年経験を重ねるうちに”自我をなくすこと”の感覚が掴めてきた気がします。
発信者がいて、受信者がいる。そこに作成者である自分の個性や感覚はいらないんです。その場で自分がどうするのがベストか、足りないピースを探して、そのピースになるイメージでいると、上手くいくようになりました。

 

「言語化して届ける」から「言語化するお手伝い」へ

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ーFMラジオ卒業後はフリーアナウンサーや企業のPR広報アドバイザー、FPなど、新たな領域にも挑んでいきますよね。今やっていることのキャリアの軸はなんでしょうか。

白岩ましろさん:「言葉」がキーワードなのだと思います。言ってみれば、「言葉」屋さんですね。
子供の頃から、ラジオという音だけの世界に憧れて、言語化するトレーニングを自然と続けてきました。
ラジオはテレビと違って実物を見せられない分、言葉で丁寧に伝えなくてはなりません。言葉だけでいかに人を動かすか、を考えてきたので、それを活かして言語化するのを助けることが、仕事の軸と言えるかもしれません

 

ー「言語化のトレーニングをずっと続けてきた」とは具体的にどういうことなのでしょうか。例えば、学生時代はどんな子だったのですか?

白岩ましろさん:小学生の頃は、知らないことを知るのが楽しくて、ずっと広辞苑を読んでいるような子どもでした。本を毎週5冊読んでいたり、毎日日記を書いていたり。高校生になると、コピーライターの糸井重里さんに憧れてWEBサイトを読み漁ったり、イベントにも参加したことがあります。今思うと、変な子ですよね(笑)

また、理由は覚えていませんが、幼い頃から自分の長所は「声」だけだと思っていました。流行っていたプロフィール帳にも「長所:声」と書いていたり。そんな感じだから、余計に声や発声を褒められるようなエピソードは印象深く記憶に残っているんです。

 

ーキャリアを広げていくきっかけは、何だったのでしょうか?

白岩ましろさん:ラジオパーソナリティを卒業してフリーランスのアナウンサーになってから、ありがたいことにお仕事はいただけていたものの、年を重ねるごとに、ふと10年先や20年先のことを考えることが増えたんです。

1番は収入面。基本的にフリーランスのギャラって上がりづらいんです。広告業界の風向きもどんどん変わってきていますし、どうしても年齢が関係する商売でもあるので。現実的に考えたときに、他の柱も持たないと戦っていけないと感じていました

なのでまずは、自分がフリーランスで1番苦労したお金のことを勉強し始めて、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格をとったことが、キャリア拡大の始点でしたね。

 

ー”自身の困りごと”は、学ぶ意欲も保ちやすそうですね。そこからさらに、企業のPRアドバイザーも手がけるようになったのは、FPの仕事から何かきっかけを受けたものだったのでしょうか?

白岩ましろさん:FP分野で知り合った経営者の知人から会社の広報・PRのお仕事をもらったことがきっかけでした。マスコミ業界で培った経験が広報・PRに必ず活きると思い引き受けたんですが、まさかそれが仕事の柱になるとは、自分では想像していませんでしたね。

でも、そう気づいてからは、オンラインの広報コミュニティに積極的に参加したりして学びを深めていきました。

 

まずは”当たり前”を書き出そう

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ー今年の5月に開業された『MiKUMARi(みくまり)』の事業も、これまでのキャリアや「言語化」に繋がるのですか?それとも、全く新しいことへの挑戦なのでしょうか。

白岩ましろさん:5月に代表の岸田と開業した株式会社MiKUMARiは、人材領域・広報領域・FP領域で総合コンサルティングする会社です。つまり「ヒト・モノ・オカネの総合コンサルサービス」なんて表現もします。

これは代表と私、それぞれの得意分野を持ち寄った形での企業なんです。
私の得意分野「言語化」でいうと、例えば人材教育領域では、自身を言語化してキャリアの成長や発展につなげていただきます。FP領域も、お金の言語化をすることで、自分の資産をなんとなく捉えるのではなく、可視化して、今とこれからの人生への思いを整理していく作業だと考えています。

 

ー例えば、言語化・伝えることが苦手な人に対して、できれば具体的な方法なども含めて、白岩さんから何かアドバイスいただけますか?

白岩ましろさん:まずは苦手でも、「自分にとっての当たり前」を、書き出して人と共有してみましょう。
家族構成、出身、地元の方言、好きな芸能人、夏休みの思い出など、テーマはさまざまあります。それを、SNSを使ったりして、人に共有してみてください。人はどこに共感して、どこに驚くのか、どんな質問をくれるのか。その反応を見た上で、お題にどう当てはめるか考えるんです。

言葉は、人に伝えるためのものですから、決して自分1人のなかで言語化して終わらせてはいけません
「言語化がうまい」ってつまり、「言葉のポジションどりがうまい」ってことなんです。相手に伝わりやすい場所や角度に言葉を置けるかどうか。それを鍛えるには、やはり自ら積極的に「言語化」と発信を続けることが重要ではないでしょうか。

 

白岩 ましろ
しらいわ ましろ|PRプロデューサー


1988年生まれ、京都市出身。元ラジオパーソナリティ/現役フリーアナウンサー。大阪府立大学経済学部経営学科卒業後、FM-NIIGATAに入社。番組パーソナリティや制作・企画を経て、フリーランスに転向。以後、PRプロデューサーとして企業の外部広報に携わる他、ファイナンシャルプランナーの資格を活かした講演やセミナー、個人相談を受けている。現在は(株)MiKUMARi取締役。