薬剤師からエンジニアに転身した竹内謙太さん。やりたいことを見つけた20代のキャリア変遷を辿る

今回取材した竹内謙太さんは、薬剤師を目指して勉強する傍らプログラミング技術も独学で習得し、薬剤師からエンジニアに転身されました。
一見、どれほど勉強ができる方なのかと感じてしまうような遍歴ですが、ご本人曰く「僕はかなりの面倒くさがりで、目の前の明確な目的がないと頑張れないタイプ」なんだとか。

現在、新潟からLINEヤフー株式会社にてリモート勤務をしており、WebやIT関係者が多く集うローカルコミュニティ「DERTA(デルタ)」の運営サポートなども精力的に行われています。

この記事では、そんな竹内さんにお話を伺い、挑戦し続ける20代のキャリア変遷を辿ります。

竹内謙太 Takeuchi Kenta  
1994年生まれ、新潟市西蒲区出身。新潟県立巻高等学校を卒業後、新潟薬科大学に進学し薬剤師免許を取得するも、都内のIT企業にエンジニアとして就職。その後、3社目のキャリアである「PharmaX株式会社」で働く間に、新潟へUターン。現在は、LINEヤフー株式会社へリモート勤務しつつ、新潟のエンジニアコミュニティ「DELRA(デルタ)」のサポートメンバーとしても活動中。趣味はゲーム、ゴルフ、読書すること。

省エネな性格が故に辿り着いた目標

ーー元々は薬剤師を目指して大学に進学された竹内さんですが、どのような経験があってプログラミングを始めたのでしょうか?

竹内さん:きっかけとなったのは、大学2年から働きはじめたネットオークション販売事業のアルバイトでした。そこは、友人家族が経営しており、手が足りずにお願いされたことから始まったので、アルバイトよりも「手伝っている・貢献しに行っている」といった感覚に近かったです。

商品情報を一つ一つ入力・管理していくのはとても大変で、どうにか効率化できないかと考えた際に、友人と辿り着いた考えがプログラミングでした。

とにかく目の前の状況を改善するために独学でプログラムを習得し、最終的には在庫が入荷してから落札して顧客に届くまでの全工程を管理するのに必要なシステムや諸々の管理システムは、一通り完成させることができました。

今の自分から見ると決して綺麗なコードではないのですが、10年近く経つ今でもそのシステムは使い続けているそうです。

ーー全て独学で学んだとは驚きです!どうやって勉強したのでしょうか?

竹内さん:僕の勉強方法はインターネット、本、Yahoo!知恵袋で質問するなどです。周りにエンジニアがいないので、インターネットに頼るしかないんですよね。

始めたての3カ月は全く分からず、楽しくはありませんでした。でも、ある程度わかるようになってきてからは面白く感じるようになり、どんどんハマっていったんです。

ーー勉強を始めた当初はエクセルの関数も分からなかったのだとか。途中で挫折しなかった要因は、何だったのでしょうか?

竹内さん:おそらく、自分で見つけた目的だったからだと思います。周りからやれと言われていたら、きっと面倒くさがってやめていたでしょうね(笑)
また、友人家族から賃金をいただきながらアルバイト中も勉強していたので、どうにか成果に繋げようと死に物狂いだったように思います。

ーーそもそも竹内さんは、なぜ薬剤師を目指されていたのでしょうか?

竹内さん:薬剤師を目指したのは、高校時代にドラッグストアでアルバイトをしていたことがきっかけです。
正直にいうと、当時僕が目にする社会人の中で、一番待遇が良さそうに思えたから。

僕は元々かなりの面倒くさがりで、勉強もボーダーを下回らない程度の”そこそこ”でいいやと思っていたタイプでした。だからいつも効率重視の省エネな考えで過ごしていましたね。

そんな性格であるが故に辿り着いたのが薬剤師だったのですが、実際に薬科大学に進学してみると、人生で初めて勉強が面白いと感じられたんです。薬剤師という明確な目標へ辿り着くために、直接的に必要な知識や経験だったから素直に頑張ることができたのだと思います。

ーー薬剤師の道ではなく、エンジニアの道へ進んだ理由はなぜですか?

竹内さん:薬剤師を目指して勉強してきましたが、業務効率化の観点でまだまだできることがあると思い、自分はこの環境を効率化させる者として貢献していきたいと思うようになったんです。

「薬剤師」ではなく「薬剤師のことが分かるエンジニア」を目指すようになり、さらには病院のシステムや業務効率化に通ずるエンジニア領域に興味が沸くようになりました。

 

スタートアップの環境で仕事観が変わった

ーー実際の就職活動では、どんなことを軸に活動されていたのでしょうか。

竹内さん:スキルアップとやりたいことを軸にしていました。
就職活動をする頃には、独学でアプリをつくれるまでに成長していたので、知識の偏りはありつつも新卒1年目くらいの技能はあったと思います。

アルバイト先は就職の提案もしてくれましたが、ずっと周りにエンジニアが誰もいない環境だったので、今度はちゃんとエンジニアたちの中でスキルアップしたかったんです。

しかし、僕自身が最終的にやりたいことは医療系なので、3〜5年後には次にいくための、ステップアップとしての就職でした。
そのため、入社後も早々から次の会社を探していましたね。

それは、人によっては無礼に見えることかもしれませんが、僕は次を見ないとそこでどんなスキルが必要なのか、いま自分が勉強しないといけないことは何なのかが分からないと考えていたんです。

ーーその後、現在までに3度の転職をご経験されたそうですが、どのようなキャリア変遷があったのでしょうか?

竹内さん:最初の転職は、元々の想定よりもかなり早く機会が訪れました。

元々、僕の関心が強い電子カルテ領域でのプロジェクトメンバーの募集があったんです。いろんな迷いもあったのですが、やはりチャレンジしてみたくて飛び込んでみました。

しかし、私が入社して約1年ほど経つ頃にそのプロジェクトは中止してしまい、グループ企業への転職を紹介されました。ですが、それであればやりたいことは他にあったので、自分で転職することに。

運よく、薬剤師時代から気になっていた「オンライン薬局サービス」を展開する企業にジョインすることができました。ここがターニングポイントですね。1番刺激を受けて、自分自身が変化した場所だったと思います。

そこはスタートアップ企業で、当時はまだ会社規模も大きくない頃でしたので、課題も山積している状態でした。
一人一人が自分から行動することが求められる中で、がむしゃらに頑張ることを学び、仕事観が変わっていったんです。

ーー省エネタイプだった竹内さんが、がむしゃらになる仕事観を知った場所だったのですね。中でも特に印象に残っていることはなんでしょうか?

竹内さん:会社の知名度を上げるため、みんなで外部への発信をしはじめた頃のことです。

僕は、社内の薦めでエンジニアが集う「Developers Summit」という大規模なイベントで外部登壇することになったんです。

当初は人前に立つことすら怖いと思っていたのですが、なんとか良い経験として終えることができ、これを機に吹っ切れて、どんどん外に出てみよう、発信してみようと思うようになりました。最初の舞台が大きかったので、あれ以上の怖さはもうないだろう、と(笑)

 

キャリアチェンジを経て定まった目標とは

ーー仕事に対する姿勢だけなく、価値観にも大きな影響と変化があった前職だったのでしょうが、さらにまた転職をご決断されたのには、どんな考えがあったのでしょうか?

竹内さん:前職で新しいプロジェクトが始まることとなり、今までよりもさらに高度なスキルが求められるようになりました。
エンジニアとしてだけではなく、サービスを設計するスキルも求められた時に、僕にはまだまだ実力が足りないことを思い知ったんですよね。もっと大きい事業を立ち上げることなどを想定した時に、成功までのイメージが思い描けなくて。

その会社で価値観にも大きな影響を受けたことで、僕自身が起業という明確な目標を描くようになりました。
それを実現させるためにも、サービスを作る設計の段階のエンジニアスキルを学びたいと思い、20代最後の挑戦として転職を決めました。

現在勤める企業は大手なので僕自身としては思い切った挑戦でしたが、ありがたいことに採用をいただけまして、今はレベルの高いエンジニアの中で必死に学びながら働いています。

ーーなぜ起業したいのでしょうか?

竹内さん:前職の代表の、熱意や想いを持って会社を創業した姿に感化されていますね。同時に、代表の想いを知って、その想いに応えようとする同僚などによって僕自身のビジョンも固まっていったように思います。

現在は医療と関係のない仕事をしていますが、僕自身は学生の時の気持ちと変わっておらず、医療のためにITで貢献したいと思っています。

そのためにも、今の環境で多くを学び吸収しようと考えています。

ーー竹内さんにとって「働く」とは何でしょうか?

竹内さん:う〜ん、、人や社会の役に立つこと、ですかね。

でも、それは役に立てたと感じると自分が嬉しいからであって、結局自分の好きで誰かのためにやっているのでしょうけどね。

働くとは、、やっぱり難しいですね(笑)

高校生までは「将来」というあやふやなもののために勉強するのが理解できず、だから僕の場合は頑張れなかったのかなと思います。
なので、明確に分かる目の前の人のためなら頑張ろうと思える気質なのかもしれません。

それは「働くこと」を通して気づくことが出来たわけなので、やはり「自分を豊かにするために、働く」のでしょうね。

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